トイレを完全に覚えた

しげるはトイレを完全に覚えた。
99%指定場所でやってくれるようになっている。
片足上げフォームなので、トイレケージ壁面には大量のトイレシートが洗濯ばさみでぶら下げられている。
見た目はさながら京都の安井金毘羅宮。禍々しいビジュアルのトイレだ。

ここで用を足せば、褒めてもらえておやつもいつも以上に奮発してくれる。
犬のしつけには欠かせない要素だ。
だがしげるは頭が良い。
彼はおやつを貰うためにおしっこを一気に出さずに、小出しにすることを覚えた。
小出しにすれば、その回数分ご褒美が貰える。
トイレに入る前は確実に人間が見ていることをチラッと確認してから小便をする。
誰も見てなければ「アゥッ」と吠えて注目を集めてから放尿する。
まるで部長クラスがいるのを確認してから大きい声で下っ端に指示を出すクソ社員のようだ。
散歩でたくさん放尿した直後でも帰宅後すぐに水をがぶ飲みし、涙目で歯を食いしばりながら絞り出してる姿には執念を感じた。

だが彼は知らない。回数をすればするほど1回あたりのおやつ量は少し減らされているということを。
しげるが来て約4か月。とにかくトイレは完全に覚えた。

ちなみにウンチは散歩中にしてくれるが、家で我慢できなくなった場合は「ワンッ」と言って教えてくれる。
我々はこれをウンチアラートと呼んでいる。

犬
トイレぐらい余裕っす
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